顧客インタビューでは何を聞く?購入前の迷いと選んだ理由を具体的な質問例で引き出し、お客様の声を商品や売り場の改善につなげる始め方

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お客様に感想を聞いたら、「よかったです」と言ってもらえた。

嬉しい! 聞いてよかった。

……と思って商品ページを開いたところで、手が止まる。

で、どこを直そう。

感想はもらえた。でも、「よかった」の中身がまだ見えていない。褒め言葉を疑いたいわけではなく、よかった理由も、買う前に迷ったことも、もう少し知りたいのです。

そんなときは、質問を「この商品はどうでしたか」から、「前回、何をきっかけに探し始めましたか」へ変えてみましょう。

感想の点数より、選ぶ途中で何が起きたかを聞いてみるのです。

顧客インタビューでは、知りたいことを絞り、実際の購入場面を順にたどります。聞いた内容と自分の解釈を分け、最後に小さく確かめる改善案へつなげるのが、この記事で紹介する進め方です。

ここでは、贈り物のお茶を選ぶ場面を仮の例に使います。実際に行った調査結果ではなく、質問と整理の仕方を考えるための例です。自分の商品に置き換えて、一つずつ見ていきましょう。

目次

質問を増やす前に、今回決めたいことを一つ置く

質問項目を作り始めると、知りたいことは次々に出てきます。価格、味、パッケージ、買う場所、好きな色。せっかく時間をもらうのだから、全部聞いておきたい。

気付けば、質問する側の「全部知りたい」がぎっしり。

ただ、それを一列に並べると、話は広がっても判断にはつながりにくくなります。最初に置きたいのは、質問の数より「聞いた後に何を決めたいか」です。

お茶の贈り物を扱う商品ページなら、たとえば「購入前に必要な情報が足りているかを見直したい」と置けます。そのうえで、「選ぶとき、どの情報を探したか」「見つからないとき、どうしたか」を知りたいことにします。

ここで、社内で考える問いと、お客様へそのまま話す質問は別に作ります。

英国政府GOV.UKのリサーチの問いを整理する案内でも、調べたい問いは、そのまま参加者に尋ねる質問ではないと区別されています。

「購入を阻害する要因は何か」は社内では通じても、お客様には答えにくい言い方です。まず最近の一回を思い出してもらい、何を見て何をしたかから尋ねたほうが、話の足場ができます。

今回の相手も、誰でもよいわけではありません。最近贈り物として選んだ人の話を知りたいのに、自宅用しか買わない人へ同じ問いを投げても、必要な場面には届きにくいです。

「直近で贈り物用のお茶を選んだ人」のように、話してほしい経験を条件にします。何日前までなら話を思い出しやすいか、購入した人だけか、途中でやめた人も含めるかは、今回知りたいことから決めます。

対象を絞ることは、都合のよい意見を選ぶこととは違います。褒めてくれそうな常連客だけに声をかけると、初めての人の迷いは見えにくくなります。どんな人の話が含まれているかを、結果にも残しましょう。

調査の組み立てから学びたい場合は、手法だけでなく目的の決め方を扱う入門書も助けになります。

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「買いますか?」より、直近の一回を最初からたどる

新しいセットの写真を見せて、「これなら買いたいですか」と聞きたくなることがあります。けれど、今回は実際に選んだときの迷いを知りたい場面です。先に新商品の評価へ話を飛ばさず、最近の経験を聞いてみましょう。

GOV.UKのインタビュー実施ガイドは、一般論より実際の話や例を重視し、答えを誘導しない開かれた質問を使うと案内しています。

お茶の例なら、最初の質問は「最近、贈り物用のお茶を選んだときのことを教えてください」。続けて「何がきっかけでしたか」「最初にどこで探しましたか」と場面をたどれます。

ここで相手が「いつもネットで買います」と答えたら、少しだけ待って。知りたいのは「いつも」の一言の中にある、実際の買い物です。「その中で、いちばん最近の一回はどうでしたか」と戻すと、特定の出来事を追いやすくなります。

場面が決まったら、見たもの、比べたもの、止まったところ、最後に選んだことへ。最初から「価格で迷いましたか」と決めず、「候補を比べるとき、何を見ましたか」と尋ねます。

仮に「相手の家に急須があるか分からなくて」と話が出たとします。そこで聞きたいのは、こちらが考えた商品の長所ではありません。

「そのことは、いつ気になりましたか」「気になった後、何をしましたか」。こう続けると、迷いに対して相手が実際に取った行動を聞けます。

茶葉かティーバッグかを比較したのか、贈る相手に聞いたのか、別の贈り物へ変えたのか。答えが違えば、売り場で見直す情報も変わりそうです。

一つの質問に、味も価格も包装も入れないようにします。相手が最初の一つへ答えている間に、残り二つが置き去りになることがあるからです。話題を一つずつ置くほうが、後から記録も読みやすくなります。

事前に同僚へ質問を声に出してみると、長すぎる問いや、意味が伝わりにくい言葉が見つかります。練習では答えの中身を評価するより、質問を聞いて何を話せばよいか分かるかを見ます。

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話してもらう時間には、売り込みを差し込まない

お客様が「ここが分かりにくかった」と言うと、作った側は説明したくなります。実は下のほうに書いてあります、別の商品もあります、と。説明の準備だけは、もうできている。

その説明、いったん待ってもらいましょう。

でも、改善の材料を聞いている間に説明を始めると、相手がどう探したかを聞く時間がなくなります。まず、「どの辺りを見ましたか」「そのとき何が分かればよかったですか」と続きを聞いてみましょう。

案内が必要な困りごとが出た場合は、調査の質問と実際のサポートを切り分けます。相手が困っているのに、研究だからと待たせるための手順ではありません。

始める前には、何を知りたい時間なのか、どのくらい話すのか、記録をどう使うかを伝えます。録音する場合は、そのことも説明し、同意を得てから始めます。答えにくい質問は飛ばせるようにしておきましょう。

GOV.UKの記録に関する案内も、メモや録音の前の同意と、合意した目的での利用を重視しています。

「調査に協力してもらった」と「お客様の声として広告に掲載してよい」は同じことではありません。社内の改善用に聞いた話を、そのまま販売ページへ載せる前提にしないようにします。

聞き手と記録係を分けられるなら、役割を先に決めます。一人で行う場合は、文章を完成させながら聞こうとせず、時刻や言葉の手がかりを短く残せる形を考えます。

相手が少し考えているとき、次の質問で空白をすぐ埋めなくても大丈夫です。急いで答えの候補を並べると、その候補の中から選ぶ話に変わってしまいます。

こちらの上手な説明より、相手が思い出す時間を残したいところです。

最後には、聞き漏らした点がないかを尋ね、協力へのお礼を伝えます。その場で良い感想をもう一つ引き出そうとせず、最初に伝えた時間の中で終える準備もしておきます。

こうした進め方を一人で抱え込まず、協力者と調査の目的を共有したいときには、組織への取り入れ方を扱う本が候補になります。

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発言、読み取り、試すことを分けると改善案が飛躍しにくい

話を聞き終えて、メモを開く。ここでいきなり「お客様は使いやすさを求めている」とまとめると、何を聞いてそう考えたのかが見えなくなります。

まずは、聞いた言葉や出来事を残し、その後に自分たちの読み取りを置きます。GOV.UKの分析手順も、観察したこと、そこからの発見、次の行動を分けて整理しています。

お茶の例で考えてみましょう。以下も説明用の架空例です。

発言には「贈る相手が急須を持っているか分からず、ティーバッグの商品を探した」と記録します。実際の調査なら、録音やメモで確かめた言葉と、要約した文章が分かるようにします。

読み取りは、「贈る相手の道具が分からないことが、商品の形状を選ぶ理由になっている可能性がある」。一人の話から、すべての購入者が同じだとはまとめません。

試すことは、「商品ページで茶葉かティーバッグかを見つけやすくし、選ぶ人が違いを説明できるか確かめる」。売上が必ず増えるという結論ではなく、次に確認できる変更へつなげます。

「急須があるか分からなかった」。そこから、いきなり全商品をティーバッグに変更……は、ちょっと待って。

この三つを分けると、話を聞いた一人の場面と、商品全体を変える判断の間にある距離が見えてきます。まず情報の見つけ方の問題なのか、商品そのものの希望なのかを調べられるのです。

別の人が「茶葉を贈りたい」と話した場合も、前の声を消す必要はありません。誰への贈り物か、相手の好みを知っているかなど、場面の違いを比べます。

矛盾する声が出たら失敗、ではありません。まとめ方を大きくしすぎていないかを見直す手がかりになります。同じ「贈り物」でも事情は一つではないのですね。

共有する資料には、今回話した人の条件と、まだ聞けていない人も添えます。少人数への聞き取りを、購入者全体の割合へ置き換えないためです。

会議で決めるのは、大きな結論一つでなくても構いません。「まず形状の表記を見直す案を作る」「別の購入場面でも同じ迷いがあるか聞く」と、担当と次に確かめることが決まれば前に進めます。

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調査の入口を一冊でつかみたい人に『はじめてのUXリサーチ』

何を調べるか、どんな方法で聞くかから整理したい人には、松薗美帆・草野孔希著『はじめてのUXリサーチ ユーザーとともに価値あるサービスを作り続けるために』が候補です。インタビューを調査全体の中で考えるための入門書として選べます。

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翔泳社の公式紹介では、リサーチの捉え方、組み立て方、手法、仲間や継続の仕組みを扱っています。書誌は2021年刊、A5判232ページ、ISBN9784798167923です。

今回のように質問を作りたいときは、質問文だけを集めるより、まず目的と方法の関係をつかむ使い方が合います。目次にはユーザーインタビューに加え、ユーザビリティテストやアンケートなども並んでいます。

たとえば「どこで迷ったのか話を聞きたい」のか、「商品ページで形状を見つけられるか実際に見たい」のかでは、知りたいことが違います。後者なら、話を聞くだけでなく、探す様子を見る方法も考えられます。

本を選ぶときも、インタビューの万能な質問集だと思って買うより、調査の選び方と組み立て方を学ぶ本として見ると期待が合いやすくなります。

読む前に、自分の仕事で一つだけ例を置いておくと使いやすそうです。「ギフト商品の選び方が分かるページにしたい」など、今の課題を紙の上へ置き、関係する章へ進みます。

読みながら増えた専門用語を全部覚えることが目的になると、実際の質問へ戻りにくくなります。今回使う方法は何か、それで何を知るのかを先に言えるようにしてみてください。

出版社には実践用テンプレートのダウンロード案内もあります。利用したい場合は、提供形式や案内を公式で確認します。書籍の付属データがあることと、どんな案件にもそのまま使えることは別なので、目的に合わせて調整しましょう。

購入時はISBNと著者名、紙か電子かを確認します。手元に別の入門書があるなら、まず調査目的と質問の関係を説明する章から使ってみるのもよい方法です。

聞いて終わる状態を変えたい人に『UXリサーチの活かし方』

すでに話は聞いているのに、結果が担当者の中だけで止まっているなら、瀧本はろか著『UXリサーチの活かし方 ユーザーの声を意思決定につなげるためにできること』が候補です。調査を周囲へ伝え、仕事の判断に使うところへ関心がある人に合います。

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翔泳社の公式紹介と目次では、メンバーへの働きかけ、活動の報告、優先度づけ、結果を蓄積する仕組みなどが扱われています。2024年刊、A5判264ページ、ISBN9784798186276です。

「調査結果を共有しました」で終わり、誰も次の作業を決めていない。そんな場面なら、質問の数を増やす前に、何の判断に使う予定だったかを周囲と合わせたいところです。

今回のお茶の例であれば、商品ページを直す人と、どの表記なら探しやすいかを確認する人が関わります。聞き取り担当だけで結論を完成させて渡すより、必要な部分を一緒に見てもらう形を考えられます。

読みたい章も、自分の困り方から選べます。協力者を増やしたいなら巻き込み方、メモが探せなくなっているなら蓄積の仕組み、依頼が増えすぎているなら優先度の話です。

どの課題も一度に直そうとすると、本を読む前より仕事が増えて見えてしまいます。今止まっている場所を一つ選び、次の調査で変えることを決める使い方が現実的です。

前の入門書との選び分けは、ページ数の多さより、今の段階で考えましょう。調査を組み立てる入口なら『はじめてのUXリサーチ』、実施した知見を周囲へ届けたいなら『UXリサーチの活かし方』が比較候補です。

二冊を同時にそろえる必要はありません。内容紹介や目次を見て、今の困りごとに近いほうから手に取れます。

本に載っている事例も、自社の成功を約束するものではありません。自分の顧客、商品、使える時間へ置き換え、何を小さく試せるかを考える材料として読みたいところです。

最初の一回は、次の質問と小さな改善案が残ればよい

顧客インタビューを始めるなら、立派な質問票を完成させる前に、今回決めたいことを一つ書いてみてください。その後、話してほしい経験を持つ人を考えます。

質問の出発点は、実際に選んだ最近の一回。きっかけ、探した場所、比べたもの、迷ったところ、その後の行動へ進めます。答えの方向を先に決めず、相手が思い出した内容から追加の問いを作りましょう。

聞いた後は、発言や出来事、自分たちの読み取り、次に試すことを分けます。印象の強い一言だけが、全員の声として独り歩きしないようにするためです。

「いいですね」で終わった会話に、次の一歩を作れます。

お茶の例なら、次は形状の情報をどこに置くか考えたり、別の贈り物の場面でも同じ迷いがあるか聞いたりできます。仮の例の答えを自分の商品へ貼り付けず、自分の顧客が話した事実から決めてください。

終わった直後に少し時間を取り、「分かったこと」「まだ分からないこと」を一つずつ残すと、次の準備へ戻りやすくなります。すべてを整理した報告書ができるまで、気付きを手元に寝かせなくて済みます。

次の協力者へ依頼する前に、質問が長すぎた場所や、説明したくなって口を挟んだ場所も振り返りましょう。質問票そのものも、一回で完成する必要はありません。

まず、今ある質問の中から一つ。「この商品はどうですか」を、「前回選んだときのことを教えてください」へ。その小さな置き換えから、聞きたい場面を具体的にしてみませんか。

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この記事を書いた人

マーケティングの基本や実例を手がかりに、選ばれる仕組みを考えています。

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