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「顧客満足度No.1」「おすすめしたいサービスNo.1」。広告やお店のチラシで、こんな言葉を見かけることは多いですよね。自分のお店やサービスでも使ってみたいと思ったとき、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
この記事では、消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日公表)の報告書と概要資料をもとに、No.1表示と景品表示法の考え方について5つのポイントで整理します。後半の、小さなお店がNo.1表示を使う前の確認メモは、この記事の提案です。
※この記事は、2026年10月時点で消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日公表)に掲載されている内容をもとにしています。個別の表示が問題になるかどうかは、表示の内容や商品の特性によって判断されます。迷ったときは、消費者庁の資料を読み直したり、専門家に相談したりしてください。
No.1表示とはどんな表示?
優良性や有利性を示す表示
報告書では、No.1表示は商品やサービスの内容の優良性、または取引条件の有利性を示す表示だと説明されています。そのうえで、合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合には、実際のものや競争事業者のものより著しく優良または有利だと一般消費者に誤認され、不当表示として景品表示法上問題となるとされています。
主観的評価によるNo.1表示
「満足度」や「おすすめしたい」のように、回答した人の感想や意見をもとにしたNo.1表示は、アンケート調査やヒアリング調査を根拠にすることが多いと書かれています。売上額のような客観的な数字とくらべて、調査する側の恣意性や、回答する側のバイアスが働きやすいと指摘されています。
高評価%表示も対象
報告書では、「◯%が満足」「医師の◯%が推奨」のような、高い評価の割合を示す表示(高評価%表示)についても取り上げられています。比較を前提としない点はNo.1表示と違いますが、第三者の主観的評価を根拠にする点は同じなので、考え方は基本的に共通するとされています。
| 表示のタイプ | 報告書での位置づけ |
|---|---|
| 主観的評価によるNo.1表示 | アンケートなどで感想を調べて1位と示す表示 |
| 高評価%表示 | 「◯%が推奨」など評価の割合を示す表示 |
| 共通点 | 第三者の主観的評価を根拠にしている |
| 問題になる場合 | 合理的な根拠がなく事実と異なるとき |
| 根拠となる調査 | 比較対象・対象者・方法・対応の4つを満たす |
No.1表示 5つのポイント
1. 比較する商品を適切に選ぶ
No.1を訴えるなら、原則として主要な競合の商品やサービスを比較対象にする必要があると書かれています。市場の主要なものの一部や全部を外して調べた場合や、インターネット検索で上位に出たものだけを比べた場合は、問題となるおそれがあるとされています。
2. 調査対象者を適切に選ぶ
調査対象者は無作為に抽出された人である必要があるとされています。自社の商品を続けて買っている顧客だけや、自社の社員や関係者を対象にした調査は、問題となるおそれがある例として挙げられています。
3. 公平な方法で調べる
自社の商品を選択肢の一番上に固定するなど、有利になるよう回答を誘導する場合や、1位になるまで調査をくり返す、1位になったところで調査を終えるといった、結論ありきの調査は問題となるおそれがあるとされています。
4. 表示と調査結果を対応させる
「顧客満足度No.1」のように、実際の利用者に調べた結果のように見える表示をしながら、実際には利用したことのない人へのイメージ調査だった場合などは、表示と調査結果が対応しているとはいえないと説明されています。
5. 注記は見える形で
「検索上位◯社」のような注記があっても、記載位置や文字の大きさ、色などから一般消費者にとって明瞭でない場合は、表示内容と調査結果が適切に対応しているとはいえず、問題となるおそれがあるとされています。
5つのポイント早見表
| ポイント | 消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日公表)の案内 |
|---|---|
| 比較する商品を適切に選ぶ | 主要な競合を比較対象に含める |
| 調査対象者を適切に選ぶ | 無作為に選ぶ、身内だけにしない |
| 公平な方法で調べる | 誘導しない、1位まで調査しない |
| 表示と調査結果を対応させる | 表示の言葉と調査内容をそろえる |
| 注記は見える形で | 小さな注記だけに頼らない |
「医師の◯%が推奨」の表示
専門家の評価は影響が大きい
報告書では、一定の有資格者や専門家の主観的評価を訴える高評価%表示は、一般消費者に与える影響も大きいと考えられるため、調査対象者の選び方に特に注意が必要だと補足されています。
問題となるおそれがある例
医師かどうかを自己申告だけで確認している場合、医師の専門分野が商品を評価するのに必要な知見と対応していない場合、医師が調査会社などから根拠のない情報を受け取って回答している場合などが挙げられています。
消費者の受け止め方
消費者の意識調査では、「医師の90%が推奨する」という表示を見て、専門的な根拠や裏付けがあると思ったと答えた人や、客観的なデータをもとに調査したと思ったと答えた人が、いずれも約5割にのぼったと紹介されています。
不当なNo.1表示を防ぐために
調査会社まかせにしない
報告書では、不当なNo.1表示を防ぐための広告主の取組みとして、調査を外部に任せきりにせず、比較対象や調査対象者、質問の内容などを広告主自身が確かめることの大切さが示されています。
根拠を残しておく
表示の根拠となる資料は、あとから確認できるように保管しておくことが求められます。どの調査をもとに、どの言葉を使ったのかを記録しておくと、社内で説明するときにも役立ちます。
調査の概要を見せる
表示の根拠となる調査の内容を、一般消費者が確認できるようにすることが望ましいとされています。表示物に調査方法の概要を載せることや、それがむずかしい場合はQRコードなどで概要を確認できるようにする方法が示されています。
他社もやっているは理由にならない
実態調査では、他社が同じような表示をしているので見劣りしたくなかった、という趣旨の回答が複数あったと紹介されています。ただ、他社の表示があることは、自社の表示が認められる理由にはならないと考えておきたいところです。
小さなお店がNo.1表示を使う前の確認メモ
ここからは、消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日公表)の案内をもとにした、この記事の提案です。
まず何のNo.1かを一文で書く
「何を」「誰にくらべて」「誰に聞いて」No.1なのかを、一文で書き出してみましょう。一文にできないときは、表示の言葉がふわっとしているサインかもしれません。
比較した相手を書き出す
比較対象に、その分野の主要なお店やサービスが入っているかを見直します。検索で上に出た数社だけになっていないかもチェックしたいポイントです。
回答者の顔ぶれを確かめる
常連さんやスタッフ、知り合いだけに聞いた結果になっていないか、調査会社の資料で確かめましょう。「利用者に聞いた」と書くなら、本当に利用者に聞いたかも大切です。
No.1以外の伝え方も考える
根拠がそろわないなら、無理にNo.1を使わず、「材料の産地」「作り方」「アフターサービス」など、事実として説明できる強みを具体的に書く方法もあります。読む人にとっても、そのほうが選びやすいこともあります。
買う側としてNo.1表示を見るときのコツ
ここからは、消費者庁の「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日公表)の案内をもとにした、この記事の提案です。
注記の小さな文字を読む
No.1表示の近くには、「調査機関」「調査期間」「調査対象」などの注記が書かれていることがあります。少し面倒でも、文字が小さい部分まで読むと、どんな調査をもとにした表示なのかが見えてきます。
誰に聞いたのかを見る
「利用者満足度」と書かれていても、実際の利用者に聞いたのか、サイトの印象を聞いたのかで意味は大きく変わります。報告書でも、イメージ調査なのに利用者に聞いたように見える表示は問題となるおそれがあるとされています。
比較した相手の数を見る
比較対象が数社だけだったり、「検索上位◯社」と書かれていたりする場合は、市場全体の中での1位とは限りません。気になるときは、自分でも別のお店やサービスをくらべてみると安心です。
No.1だけで決めない
No.1の表示は、選ぶときのきっかけのひとつと考えて、料金、解約の条件、サポートの内容など、自分にとって大切な点を自分の目で確かめてから決めるのがおすすめです。
おかしいと思ったら相談する
表示の内容に疑問があるときは、消費者ホットライン188で身近な消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。一人で抱えずに、相談先を知っておくと心強いですね。
よくある質問
報告書はいつ公表された?
消費者庁のサイトでは、令和6年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」が公表されたと掲載されています。
注記を書けば大丈夫?
注記があっても、位置や文字の大きさなどから一般消費者にとって明瞭でなければ、表示内容と調査結果が対応しているとはいえないとされています。
自社のお客さんだけに聞くのはだめ?
自社の商品を続けて買っている顧客だけを対象にした調査は、問題となるおそれがある例として挙げられています。
「〜したいNo.1」なら問題ない?
意識調査の結果から、「〜したい」「〜と思う」という表現でも、表示の内容によっては実際の利用者に調べた結果のように受け取られる場合があると報告されています。
どんな調査ならよいの?
報告書では、どのような調査が合理的な根拠になるかは、表示の内容や商品の特性などをふまえて、個別の事案ごとに判断される問題だとされています。
高評価%表示にも同じ考え方が使われる?
報告書では、高評価%表示は比較を前提としない点でNo.1表示と違うものの、第三者の主観的評価を根拠にする点は同じなので、合理的な根拠についての考え方は基本的に共通するとされています。
医師の推奨は自己申告の確認で足りる?
調査対象者が医師かどうかを自己申告で確認するだけで、医師であることを客観的に担保できていない場合は、問題となるおそれがある例として挙げられています。
相談したいときはどこへ?
表示に関する疑問は、消費者ホットライン188で身近な相談窓口を案内してもらえます。事業者の立場で迷ったときは、資料を読み直したうえで専門家に相談すると安心です。
No.1表示は「何を・誰と・誰に」で確かめる
No.1表示を使うなら、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4つを、消費者庁の報告書に照らして確かめることが出発点です。注記を小さく入れるだけに頼らず、根拠を残し、調査の概要を見られるようにしておきましょう。根拠がそろわないときは、事実として説明できる強みを具体的に伝える方法もあります。